Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【鳥越俊太郎さんのケース】大腸がんはステージ4でも治る

鳥越氏は元気そのもの(C)日刊ゲンダイ

 鳥越さんは、肺でも肝臓でも、手術の適応になったということです。肺や肝臓の転移がんを切除した場合の5年生存率は30~50%とされていますから、鳥越さんの手術はいずれもうまくいったことがうかがえます。

 鳥越さんは50代から年に1、2回人間ドックを受けていたそうですが、クリニックが人間ドックをやめたことで3年間、人間ドックを受けずにいたといいます。そして05年、下血や下痢、左下腹部の違和感を不安に思い、虎の門病院を受診して大腸がんが見つかりました。今井さんも検診を受けていなかったため、大腸がんが腸を塞ぐほど大きい状態で発見されました。

 大腸がんは、他のがんに比べて治りやすいがんなのは事実ですが、だからといって、検診をおろそかにしていいことにはなりません。食の欧米化で、大腸がんにかかる人は急増していて、今や胃がんを抜いて部位別トップ。大腸がんを早期発見するための便潜血検査は、毎年受けることが大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。