良医が警告 やめてはいけないクスリ

骨粗鬆症を恐れて服用を中止 食道がんになってしまった

自己判断は禁物だ(C)日刊ゲンダイ

 米国消化器病学会のインターナショナルメンバーを務める専門医「江田クリニック」院長の江田証氏は言う。

「食道の粘膜は『扁平上皮』で覆われています。その扁平上皮が逆流性食道炎などによって長く胃酸にさらされていると、徐々に胃や腸の粘膜である『円柱上皮』に変質し、『バレット食道』という状態になってしまいます。バレット食道にはさまざまな遺伝子異常が起こり、がんが生じるケースもある。バレット食道がある人は、薬でしっかり胃酸を抑えておかないと、食道がんになりやすくなってしまうのです」

 実際、逆流性食道炎で通院していた患者が自己判断で薬をやめてしまったことで食道潰瘍になって吐血したり、食道がんになったケースが最近2例あったという。

 2例とも、薬を自己判断で中止してから1年半後、また調子が悪くなったと再来院。内視鏡検査をしたところ食道がんが見つかり、すぐに胃と食道を全摘出する大手術が行われた。一命は取り留めたが、ヘタをすれば手遅れになっていた可能性もあったという。

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