うまく寝つけずに睡眠不足が続くと、昼間の眠気や集中力の低下が起こってしまいます。そんなときには、運動、カフェインの制限、日光で起きる等、さまざまな対処方法があります。
それでも睡眠が改善しない場合、薬を使う対処法が考えられます。ただし、注意が必要です。
まず、押さえておきたいポイントは、病院でしかもらえない「睡眠薬」と、市販の「睡眠改善薬」は内容成分がまったく異なるという点です。
多くの「睡眠薬」は、脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し、脳の働きを抑えて催眠作用を発揮します。
一方、多くの「睡眠改善薬」には、ジフェンヒドラミンという成分が配合されています。ジフェンヒドラミンは「アレルギーを引き起こすヒスタミンをブロック」する作用があり、「風邪や花粉症などの鼻水」や「皮膚の湿疹」など、幅広く使用されています。副作用として眠気が起こりますが、この“眠気の副作用”をうまく利用すると、睡眠を改善することができるのです。
しかし、ジフェンヒドラミンには、眠気以外にも、口の乾き、便秘など多くの副作用があります。実際に、服用した患者さんから「口の乾きが酷く、喉が痛くなり、眠れなかった」という訴えもあります。口の乾きは、口や喉への刺激だけでなく、口臭、虫歯、口内炎の原因にもなり得るので注意してください。
さらに、前立腺肥大気味の男性は、副作用で尿の出が悪くなり、ひどい場合は尿が出なくなる危険もあります。
「ドリエル」をはじめ、ジフェンヒドラミンが配合されている市販の睡眠改善薬は数多く存在します。睡眠が改善するだけであれば良いのですが、そう単純ではありません。使用する場合、薬の良い面だけでなく、注意すべき副作用もしっかり理解しておきましょう。
身近な薬の落とし穴