体質改善で症状緩和を図る漢方薬は、飲み続けることで、ご本人が自覚していない悩みの解消につながることがよくあります。
「“飲む育毛剤”のような漢方薬はありますか?」というのが、その男性の第一声でした。前頭部から頭のてっぺんにかけて、髪の毛が薄くなっています。
年は30代半ばですが、見かけは実年齢よりも上。ご本人はその理由を髪の毛のせいだと考えているようでした。市販の育毛剤を使ったけど効果はなく皮膚がかぶれるようになることもあり、漢方薬でなんとかできないかと考えたとおっしゃいます。
ほかに不調や気になることはなし。私が受けた感じでは、老けて見える理由は太った体全体から発する覇気のなさ。顔色も悪く、ダラダラと汗をかいており、表情も冴えない。生命力や免疫力などに関係する「腎」に弱りがあると考えました。腎の弱りは、薄毛にも関係します。
彼にすすめたのは、腎を補う「八味地黄丸」と、胃腸を元気にして食べたものをエネルギーに変え、余分な水分を排泄して代謝を活性化させる「防已黄耆湯」です。
1カ月ほど飲み続けたころでしょうか。「体が少し軽くなった気がします。疲れを翌日に持ち越しにくくなりました。僕、結構、体調が悪かったんですね」と報告を受けました。
薄毛には遺伝的な要因もありますから、1カ月では目に見えた効果はありませんでしたが、それでも男性は「抜け毛が減った。なにより、体の調子がいいので、髪の毛のこともあまり気にならなくなった」と改善を実感されているようでした。
あれから1年近くたった今では、見違えるほどにハツラツとしています。体重の変化も一目瞭然です。
漢方達人をめざせ!