漢方達人をめざせ!

飲み続ければ自覚していなかった悩みが改善することも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 体質改善で症状緩和を図る漢方薬は、飲み続けることで、ご本人が自覚していない悩みの解消につながることがよくあります。

「“飲む育毛剤”のような漢方薬はありますか?」というのが、その男性の第一声でした。前頭部から頭のてっぺんにかけて、髪の毛が薄くなっています。

 年は30代半ばですが、見かけは実年齢よりも上。ご本人はその理由を髪の毛のせいだと考えているようでした。市販の育毛剤を使ったけど効果はなく皮膚がかぶれるようになることもあり、漢方薬でなんとかできないかと考えたとおっしゃいます。

 ほかに不調や気になることはなし。私が受けた感じでは、老けて見える理由は太った体全体から発する覇気のなさ。顔色も悪く、ダラダラと汗をかいており、表情も冴えない。生命力や免疫力などに関係する「腎」に弱りがあると考えました。腎の弱りは、薄毛にも関係します。

 彼にすすめたのは、腎を補う「八味地黄丸」と、胃腸を元気にして食べたものをエネルギーに変え、余分な水分を排泄して代謝を活性化させる「防已黄耆湯」です。

 1カ月ほど飲み続けたころでしょうか。「体が少し軽くなった気がします。疲れを翌日に持ち越しにくくなりました。僕、結構、体調が悪かったんですね」と報告を受けました。

 薄毛には遺伝的な要因もありますから、1カ月では目に見えた効果はありませんでしたが、それでも男性は「抜け毛が減った。なにより、体の調子がいいので、髪の毛のこともあまり気にならなくなった」と改善を実感されているようでした。

 あれから1年近くたった今では、見違えるほどにハツラツとしています。体重の変化も一目瞭然です。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。