救急搬送された患者さんに対し、時間的な余裕がない中で行われる緊急手術は、外科医やスタッフの経験値が重要になります。
事前に詳細な検査をしたうえで計画的に行われる予定手術と違い、緊急手術は、心臓、その他の臓器、全身状態の術前評価がどうしても不十分なまま行われます。そのため、手術中にそれらの状態を確認したり、整えながら進めていきます。
たとえば、血圧が低くなって全身に血液が十分に流れないショック状態の患者さんの場合は、人工心肺を早く回してショック状態を脱出させたり、出血が多ければ、まず出血している箇所を把握して早く止血し、血圧をしっかり維持できるようにして進めていきます。
そうした対処はその場その場の判断で行います。判断とアプローチを間違えれば、そのまま患者さんがショック死してしまうケースもあります。そのため、緊急手術は経験数が多い病院でなければ、良好な結果は出せないといえます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」