看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

緩和ケアスクリーニング「3つのメリット」

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 がん診療連携拠点病院で、緩和ケアに関する「スクリーニング」(緩和ケアスクリーニング)が診断時から外来や病棟で行われるようになりました。

 2015年に始まったばかりで課題も多いのですが、今回はこの制度のメリットについて伝えたいと思います。

 皆さんは、診察で医師に症状や苦痛を十分に伝えられなかった経験はありませんか? いざとなると緊張してしまったり、聞きたいことを聞けないうちに別の話題になったり……。消化不良の思いを抱いたことは一度や二度ではないのでは?

 一方、医療者側も患者さんに事細かに説明をしたいと思う半面、診療の待ち時間を少しでも短縮したい気持ちもあり、悩みます。

 緩和ケアスクリーニングとは、簡単にいえば、これらの問題を解決するもの。患者さんやご家族は、外来診療の前に苦痛の程度に関する問診票の記入などを行います。医療者側はそれを見て、診察前に患者さんの情報を得ます。

 がん治療では、体のつらさだけでなく、経済的な不安も生じます。これについても、事前に「相談希望」と記せば、がん看護外来、緩和ケア外来、ソーシャルワーカーなどにスムーズにつながります。

 問診を書くのが大変だったり、書いたことをまた聞かれたりするのが面倒という方もいるかと思いますが、「より多くの情報で多角的に診察を受けられる」「必要な外来や社会資源の導入などがスムーズになる」「自身の変化を把握できる」「医療者とのコミュニケーションが増える可能性がある」などのメリットが考えられます。皆さまの声もいただきつつ、この制度が活用されるといいなと個人的には思っています。

 最後にもう一点。緩和ケアというと「末期がん患者に対して行われるもの」と考えている人が多いですが、①診断時から②がん患者とご家族に対して行われる、が正解です。ですから、緩和ケアスクリーニングは、早期がんの患者さんも対象になります。