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【大動脈疾患】慶応義塾大学病院・心臓血管外科(東京都・新宿区)

慶応義塾大学病院・心臓血管外科の志水秀行教授(提供写真)

 弓部大動脈や胸腹部大動脈は枝分かれする動脈が多い。ステントグラフトを使うと他の動脈を塞いでしまうので、ステントグラフト内挿術ができなかった。

 しかし、ハイブリッド治療であれば、塞いでしまう動脈に新たな血流の通り道となるバイパス手術を行うので、ステントグラフト内挿術が可能になる。血流を止めないので、人工心肺の必要はなく、手術の切開も小さいという。従来ならステントグラフトが使えなかった部位でも低侵襲の治療が可能だ。

「心臓外科の手術は『根治性』と『低侵襲』の2つの方向性があり、どうバランスを取るかが重要になります。当科は体の負担が少なく、なおかつ根治性を高める手術をモットーにしています」

 手術は、さまざまな工夫をしているので合併症も低く抑えられている。頭部に近く、難易度の高い弓部大動脈手術の全国平均の手術関連死亡率は3%以上とされる。慶応病院の場合は、死亡率や脳梗塞の発生率は2%以下だ。

  データ  
◆スタッフ数=医師6人、レジデント7人
◆年間手術総数=約500例
◆大動脈疾患の年間治療数=約160例(人工血管置換術約90例、ステントグラフト内挿術60~70例、うちハイブリッド治療20~30例)

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