身近な薬の落とし穴

1年前に開封した目薬に白い浮遊物が…

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 疲れ目、かすみ、かゆみ、ドライアイなど、目薬はさまざまな場面で使用されます。簡単に手に入り、使用方法も難しくないため、多くの方が気軽に使っている薬です。

 しかし、目薬もまた正しく使わなければ、健康被害の危険があります。特に使用期限を過ぎてからも気づかずにそのまま使っているケースがほとんどではないでしょうか。

「少しくらい賞味期限が切れた食品も食べられるし、目薬だって大丈夫だろう」なんて思ってはいけません。たかが目薬と考えていたら、深刻な事態を引き起こしかねないのです。

 目薬は、細菌が入らないように無菌の状態で製造されます。しかし、使用するために開封しただけで、どうしても空気中の細菌が入り込んでしまいます。見た目ではわからなくても、実は中身が細菌に汚染されている場合もあるのです。

 細菌に汚染された目薬を使用すると、細菌性結膜炎などを引き起こす危険があります。実際、患者さんから「1年前に開封した目薬を使用していいか?」と質問を受けたことがあります。その目薬を見せてもらったところ、白い糸状の浮遊物が浮いていました。もちろん絶対に使ってはいけません。患者さんには危険性を伝え、その目薬は捨ててもらいました。

 市販の目薬には防腐剤が含まれているため、開封後約3カ月が期限だといわれます。中には、防腐剤が入っていない使用期限が短い製品もあるので、いつ開封したのかをしっかり把握しておきましょう。開封後は、直射日光の当たらない涼しい場所に密栓して保管し、できるだけ速やかに使用してください。

 また、容器の先端が「まぶた」や「まつげ」などに触れると、ホコリや細菌が入り込んでしまいます。使用期限内であっても、にごりや浮遊物などがある目薬は絶対に使用してはいけません。

中尾隆明

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。