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米国では早くも評価 「ポケモンGO」で鬱から脱する

 街中のあちらこちらに現れるポケモンをキャッチして歩くバーチャルリアリティーのゲームアプリ「ポケモンGO」。米国は日本より一足早い7月6日にリリースされ、1週間あまりで携帯ゲームの記録を更新する6500万ダウンロードを記録しました。

 批判的な意見がある一方でこのゲームが「若者の健康に大きく貢献するのでは」との意見も少なくありません。

 まず、街中のポケモンを探し回るので、ものすごく歩くことになります。クルマ社会であり、国民の7割以上が太りすぎ、3割以上が肥満症という米国人。特に、家にこもりがちなゲーマーを、外に連れ出した功績は大きいというのです。

 実際の数字はまだ出ていませんが、アップルウオッチのユーザーに限ると、ポケモンGOのリリース以降、エクササイズレベルが上がったという報告もあります。

 それ以上に注目されているのが、“心の健康”への効果です。ネットやゲームと健康の研究で知られるソーシャルネットワーク「サイキ・セントラル」の創立者ジョン・グロール医師によれば、「ポケモンGOのおかげで不安や鬱が軽減した」との書き込みがツイッターやフェイスブックにあふれているといいます。このような事象は過去20年間で初めてとのことです。

 グロール医師は「外に出て新鮮な空気を吸い、他人と交わるシンプルな行為が、どれほど心の健康に良い影響を与えるかは証明済み」とコメント。しかし、鬱の人にとっては「外に出る」だけでも簡単ではありません。ポケモンGOはそのきっかけになったと評価されているのです。

 米国でも心の健康は大きな問題で、ニューヨーカーも含め米国人の5人に1人は鬱という数字も。医療関係者は、「ポケモンGOが医療やカウンセリングに取って代わることはできないが、健康な毎日を送るための一つの要素になってくれれば」と期待しています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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