気になる手の震え…「本態性振戦」はなぜ起こる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「人は興奮したり、緊張すると、手や首、時に声、まれに足の震えが起きますが、本態性振戦の詳しいメカニズムについてはまだ研究中です。加齢をはじめ、何らかの理由で脳の機能のバランスが崩れ、震えが出やすくなることが分かっています。20代と60歳過ぎの2つのピークがあることも分かっており、ほぼ10人に1人は罹患しているという報告もあります」

■まずはパーキンソン病ではないか鑑別を

 自分でコントロールできないような手の震えは、パーキンソン病、甲状腺機能亢進症などにも見られる症状のため、一度、神経内科で診察を受けたほうがいい。

 とりわけ、パーキンソン病による手の震えかどうかを、まずはきちんと見極めたい。

「本態性振戦の震え方は、細かく速く、動作時に起きるのが特徴です。お酒を少し飲むと震えが止まることも特徴ですが、それに頼るとアルコール依存になってしまう。一方、パーキンソン病の震えは安静にしている時に起こり、ゆっくりです。全身のこわばり、動きの鈍さ、歩行障害なども見られます。ただ、震えの症状だけで完全に見分けることは難しい。両者の鑑別のため開発された脳の『ダットスキャン』と呼ばれる検査が陰性だった場合は、本態性振戦の可能性が高くなります。また、本態性振戦は両親のどちらかが同じ振戦を患っているケースが多く、報告によっては5割を超えるといいます」

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