気になる手の震え…「本態性振戦」はなぜ起こる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 本態性振戦とパーキンソン病は別の病気とされている。しかし、ごくわずかだが本態性振戦からパーキンソン病へ移行する例や、本態性振戦で亡くなった患者の脳を調べると、非常に軽いパーキンソン病の変化を示したという報告もある。手の震えが気になる人は、やはり神経内科を受診した方がいい。

 神経内科では、本態性振戦に対して、興奮度を下げて震えの症状を改善する薬を処方する。

「本態性振戦は、緊張・興奮によって起きるため、心臓の脈拍や血圧を下げる薬で興奮状態を落ち着かせます。β遮断薬が第一選択薬ですが、副作用に注意が必要です。また、疲れなどがたまると震えがひどくなります。悩みを抱えている人は体調と相談しながら、薬を服用してうまく病気と付き合っていくことが大切です」

 欧米では、個人の尊厳が損なわれる病気だとして、原因や治療法の研究が行われている。近年、日本でも少しずつ振戦の存在が見直されている。現時点では、まだ明確な治療法はないが、研究が進めば完治が可能になるかもしれない。

 ただ、薬剤で震えを緩和するだけでも、精神的な苦痛から解放される。年だから仕方がない……と思いながら悩んでいる人は、まずは神経内科に相談だ。

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