当事者たちが明かす「医療のウラ側」

糖尿病患者は“正常内”でも低い血圧は危険?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「血圧は低い方がいい」――。一般的にはこう信じられていますが、どうやら糖尿病患者の方には必ずしもそうとはいえないようです。

 先日、中国の研究グループの発表によると、正常血圧内(収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHg未満)であっても、「正常高値血圧」(140/90)、「正常血圧」(130/85)、「至適血圧」(120/80)のうち、「至適血圧」と判断された人の死亡リスクが高いというのです。

 糖尿病の患者さんは高血圧を併発していることが多く、降圧剤を飲んでいる人が少なくありません。しかし、薬で至適血圧まで下げている人は逆に短命になる可能性があるというのですから、注意が必要です。

 対象となったのは、高血圧やがんなどがない成人の糖尿病患者3159人です。2006年の登録時の血圧は至適血圧群が831人、正常血圧と正常高値血圧群が2328人でした。その後、2年ごとに血圧を測るなどして7年間調べたところ、247人が亡くなり、177人に心血管イベントが起きたそうです。これを解析したところ、至適血圧群は、そうでない群よりも全死亡リスクが46%も高かったのです。

 興味深いことに、06年と08年に血圧測定を行った2311人を対象に、2回の血圧測定の結果が「いずれも至適血圧群」「正常血圧・正常高値血圧群から至適血圧群に変化した群」と、「いずれも正常血圧・正常高値血圧群」とを比べると、前者の死亡リスクが有意に高かったのです。

 つまり、血糖値が高くドロドロの血液は、血圧が低く血流が緩やかになると、血管が詰まったりして死亡リスクが高くなるということなのでしょう。

 いずれにせよ、糖尿病の患者さんはあまり血圧を下げ過ぎない方がいいのかもしれません。