実際、うつ病患者のリハビリは慎重に行われる。ウオーキングひとつにしても、患者によっては、まず玄関で靴を履くことだけをやってみるところから始める。そこから、自宅の周辺を1周して戻ってくることを目標にして、徐々に5分、10分単位で歩行時間と距離をのばしていく。同時に、ダメだと思った時はリハビリを中断して休む勇気も持たせることも重要だという。単純に外を歩き回ればOKというものではないのだ。
「また、ゲームによって神経伝達物質の分泌が促され、うつ症状を改善できるというのも安易な考えのように感じます。ポケモンGOが登場する以前にも、楽しみや興奮を感じさせるものはゲーム以外にもたくさんありました。それでも、大きな効果は報告されていないのです」
精神科医の中には、「うつ病はさまざまな依存症を併発しやすいため、患者さんの依存対象を増やしてしまう懸念がある」という声もある。
ポケモンGOだけではうつ病の治療にはならない。すでにうつ症状がほとんどない状態の患者が、外出するきっかけになる効果がある程度に考えておいた方がいい。