看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

良い医療・病院を見極めるために 違いは“サービス”に出る

 先日、連載を読んでくださっている読者の方から、お手紙を頂戴しました。その方は、奥さまを闘病の末に亡くされたとのこと。お手紙を拝見し、「良い医療を選ぶにはどうしたらいいのか」と、改めて考えさせられました。

 がん治療は、ステージ(がんの進行度)ごとにガイドラインにのっとった標準治療があり、がん治療病院であれば治療内容には大きな差がないとも言えます。では、何が違うのか。それは医療サービスです。

 医療は「根拠に基づいた科学的なもの」と思われがちですが、サービスの一面も持ち合わせているのでとても厄介。医療サービスとは一過性であり、再現性がないため、質についての評価がとても難しいのです。

 多くの病院では、通院あるいは入院している患者さんやご家族に対して満足度などをうかがう調査をしていますが、サービスを受ける人によって、同じサービスでも評価の度合いが異なります。たとえ同じ人が同じサービスを受けたとしても、その人の置かれている状況・
境遇によっては評価が大きく異なるものです。

「受け手が悪い」といった意味に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。医療は「医療者から受け手へ」という一方向ではなく、相互に影響を与え合う「双方向の真剣勝負」だと私は考えています。

 もし、医療者側へ不信感を抱いているなら、恐れず踏み出す勇気も必要です。たとえば、別の医療者にかかることなどです。

 一方で、医療者側も自分ができる範囲を超えていると感じたら、踏み出す勇気が必要。自分に代わって患者さんにつないだ医療者こそが、よりよい結果をもたらすかもしれません。

 余談ですが、病院が新しい、接遇が良いなどの付帯サービスによっては、評価対象となっている医療サービス本体の評価や印象はガラッと変わることもあります。みなさんは良い医療に出合えていますか?