千代の富士は61歳で…「すい臓がん」リスクをどう抑える

早期発見と喜んでいたが…
早期発見と喜んでいたが…(C)日刊ゲンダイ

 早すぎる死にビックリした人も多いだろう。

 元千代の富士の九重親方が亡くなった。まだ61歳の命を奪ったのは、すい臓がんだった。

 九重親方は昨年、すい臓がんの手術を受け、「早期発見でよかった」と喜んでいたが、その後、胃や肺への転移が見つかったという。すい臓がんは男女ともに「治りにくいがん」のトップにランクされる厄介な病気だ。「すい臓は『沈黙の臓器』と言われるほど、がんの自覚症状が乏しい器官。そのため早期発見が難しいのです」とは医学博士の米山公啓氏だ。

「太い血管やリンパ、神経などと密接しているため、血液の流れなどで遠隔転移しやすいのです。そのため早期に発見したとしても、すでに別の部位に転移していることがある。すい臓がんの90%が進行性がんと言われるのはそのためです。しかも初期ではこれといった痛みがありません。背中や腰、胃腸が痛みだしたときは、かなり進んでいると考えていい。背中が痛むのはがんによって膵管が圧迫されるからです」

 黄疸のほか、目と皮膚が黄色くなったり、尿がチョコレート色になるのも症状の一種。糖尿病のようにやたら喉が渇き、一度のオシッコの量が増えるのも兆候だ。因果関係は不明だが、統計的に肥満の人がかかりやすいことも分かっている。

「体格を表す指数のBMI値が30以上の場合、男性は、すい臓がんの発症が1.4倍になることが分かっています。だから力士のような肉付きのいい人が罹患してしまうのです。予防法はカロリーの低い食事と運動で肥満を防止すること。糖尿病のリスクを抑え、たばこを控えてください。超音波検査やMRIでは発見できないので、特殊な検査薬でがんに目印をつけるPET検査をお勧めします」(米山公啓氏)

 人間ドックや通常の検診では、早期発見は不可能という。すい臓は小さな器官だが、大きな危険を秘めているのだ。

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