緊張型や片頭痛とも違う “第三の頭痛”は低気圧で悪化する

(提供)くどうちあき脳神経外科

 梅雨時など雨が続くと、「頭痛がひどい」と感じたことはないだろうか。もしかしたら、それは「第三の頭痛」とも呼ばれる「大後頭神経痛」かもしれない。

「くどうちあき脳神経外科」(東京・大田区)の工藤千秋院長は、梅雨をはじめ雨が多い時期に、ある特徴的な頭痛を訴える患者が増えると常々感じていた。「ある特徴」とは、主に次の4点。

(1)首から後頭部、頭のてっぺんにかけて痛みが走る
(2)痛みは、首から頭のてっぺんにかけて上下に移動する
(3)人によっては目の奥まで差し込むような痛みや、肩から首にかけての凝り感を伴う
(4)耳の下の付け根からやや首の中心に寄った辺り、髪の毛の生え際付近(圧痛点)を指で押すと「ウッ!」とうなるほどの痛みを感じる

「一般的に慢性的な頭痛は緊張型頭痛、片頭痛を指します。これらとは、明らかに違う様相を示す頭痛なのです」

 緊張型頭痛は、頭に鉢巻きを巻く辺りが痛む。片頭痛は、頭を縦に割った半分がズキンズキンと痛む。一方で、前述した特徴の(1)と(2)が後で説明する大後頭神経痛の典型例だ。後頭部に起こる頭痛では、命に関わる重篤な疾患のくも膜下出血も考えられるが、「大きな違いは、くも膜下出血は突然、激痛が起こり、吐き気を伴うのに対し、大後頭神経痛はジワジワと痛みがひどくなり、吐き気はありません」という。

■湿布と鎮痛剤が効果的

 大後頭神経痛は、首の付け根を覆う筋群を貫通する「大後頭神経」を過剰に興奮させる刺激で生じる。原因は大きく分けて、「姿勢の悪さや体の歪みなどから大後頭神経を圧迫している」「雨が降る前などの低気圧」「ストレス」の3つだ。

 低気圧と大後頭神経痛のはっきりした因果関係は明らかになっていないが、「天気予報より、私の頭痛の方が雨が降るのを正確に当てる」と話す患者がいるほど。

 また、ストレスは、「嫌な上司がいる」「家庭内の不和」といった精神的ストレスと、「残業続き」「睡眠不足」「深酒」といった身体的ストレスのどちらも指し、それらによって筋肉の緊張などが起こり、神経に影響を与える。

「頭痛では緊張型頭痛と片頭痛の2つが取り上げられることが圧倒的に多く、大後頭神経痛は『その他』扱いで軽視される傾向にありました」

 ところが、パソコン利用が当たり前になり、デスク上のパソコンの配置などから、不自然な姿勢で一日の大半を過ごす人が当たり前になった。さらにスマホの普及が拍車をかけている。

 歩いている間も片手にかばんを持ち、もう一方の片手でスマホを操作していたら、体のバランスは崩れ、大後頭神経痛を招く体の歪みにつながるだろう。

 対策は次の方法が効果的だ。まず、湿布を小さく切って耳の後ろに貼る。風呂に入って痛みが和らぐ人は温湿布、冷たいタオルがベターな人は冷湿布を。次に、ロキソニンなどの鎮痛剤を服用する。痛みを引き起こす物質の放出を抑える。

 ここまでの方法を試してもまだ痛みがつらいなら、大後頭神経の興奮を抑える三叉神経痛の特効薬「カルバマゼピン」を服用する。大後頭神経は三叉神経とつながっているので、三叉神経の興奮が原因の三叉神経痛と同じ薬がよく効くのだ。医師の処方薬で、1日1回、3~5日間服用。服用して3日目辺りから血中濃度が有効なレベルまで上がるので、症状も軽減する。

「併せて、姿勢の悪さを改善したり、ストレスをためない生活を送るようにしてください」

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