独白 愉快な“病人”たち

九里千春さん 1日3回、10回ずつ肛門を締めて“のぼせ”克服

毎晩日本酒を4合飲む九里千春さん
毎晩日本酒を4合飲む九里千春さん(C)日刊ゲンダイ
女優78歳<更年期障害・痛風>

 51歳で夫を亡くしたのをきっかけに、心身のバランスを崩したのが更年期障害の始まりだったのかもしれません。もともとヒマが嫌いで、仕事もみっちり入れるタイプだったんです。それが仕事もせず、主人の位牌を眺めながらお酒を飲み、ピアノの音を聴くだけで主人を思い出しては涙をこぼし、1年半ほど引きこもりに近い状態でした。

 そんな“うつ状態”を脱して、みのもんたさんの「午後は○○おもいッきりテレビ」(日本テレビ系)に出演させていただくようになった時のことです。番組で「更年期障害」の特集があり、みのさんに「最近、変わったことは?」と聞かれ、「昨日、急に汗が噴き出て止まらなくて」というお話をして……。

 その前日、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出演した際、スタッフの方と話していたら、顔から何から大汗が出て止まらなくなったんです。仕事柄、顔に汗をかかないタイプなのに、汗がコントロールできないことに驚いて「この人のこと好きだったのかしら?」って思ったくらい。それが更年期の“のぼせ”でした。

 共演していた更年期障害の専門医、野末悦子先生に直接電話して相談すると、教えてくれたのが「肛門締め運動」でした。先生によると1日3回、10回ずつ肛門を締めると血の巡りが良くなり、子宮がんや前立腺がんになりにくくなるのだそうです。1年やってみると、のぼせは消え、血色が良くなり、快便になりました。それまで気づかなかったけど、便秘だったんですよね。今は朝トイレに入った時に10回、寝る前に10回やっています。

 肛門締め運動を教えてくれた野末先生から「今度はあなたが運動を広めてよ」と頼まれましてね。シモの話だし、女優としていかがなものかと先生に尋ねると、「大丈夫よ、あなたなら下品なイメージにならないから!」と言われました。それから講演のたびに「肛門締め運動」を勧めています。

「トイレで大きいのをする時に力むでしょ? その感じを繰り返すんです」って説明するんです。最初は不思議な顔をされるんですけど、あとで皆さんが「よかった!」って報告してくださいます。おかげで私も張り合いが出ますね。

■連日の日本酒で尿酸値が11まで上昇

 その後、55、56歳くらいの時に痛風になりました。朝起きると足先が痛くて、指先が腫れていたんです。病院で尿酸値を調べると、普通は3~4ぐらいなのに、なんと「11」。体形はヤセ形なのに、尿酸値がとても高いということは、相当悪かったんですよね。

 原因はお酒です。私は日本酒党で、仕事が終わると毎晩グラスで5合。多い時は1升飲んでいました。主人がいたころは、どっちが早く飲めるか競ったほど、よく飲みました。しかも、さかなは、このわたやカラスミをチビチビつまむ程度。晩ご飯は、ほとんどお酒だけでした。

 お医者さまに「原因は自分で分かってますから、投薬は待っていただけませんか?」とお願いしました。私は宣言したら守る性質で、それから2年間禁酒して、尿酸値を正常値に戻しました。

 ところが私、お酒でしか栄養を取ってなかったのね。禁酒したら体重がガクンと減ってしまい、今度は周りに「がんじゃないか」なんて心配されて……。結局、お医者さんからも「2合までは飲んでいいよ」とお認めをいただきました。

 更年期障害を乗り越えた今では、痛風は問題ナシ。肛門締め運動のおかげで、更年期障害も内臓関係も問題ナシです。食の好みは昔から変わらずで、うなぎが大好物。毎日うなぎでも飽きません。お酒は、毎晩日本酒を4合飲んでいます。

 ただね、お酒を飲むと、よく転ぶんです。これからは転ぶと大変だから、気をつけなきゃって思うんだけど、お酒はやめられないのよね。

▽くり・ちはる 1938年東京都生まれ。20歳で女優デビュー。25歳の時にジャズピアニストの山崎唯氏と結婚、2女をもうける。ドラマ「あばれはっちゃく」のお母さん役で出演、「モーニングショー」、みのもんたの「午後は○○おもいッきりテレビ」など、情報番組にも数多く出演。