一方、日本の保険制度は「すべての国民に一定水準以上の平等な治療を提供する」という理念を原則にしています。そして、この制度を維持していくために医療費を抑制しようとしているのが現状です。
補助人工心臓による治療は、製品価格が1600万~1800万円、手術などの治療費がプラスされてトータルで2000万円くらいかかります。維持費も1日5万円程度が必要です。これが保険適用されるには、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。先進的なタイプがもう少し低価格で使えるようにならないと、一般的な医療になるのは難しいでしょう。
普及のロールモデルになるのは、不整脈の治療に使用されている「ペースメーカー」です。脈が遅くなったときに作動して心筋に電気刺激を送り、心臓が正常に収縮するようにサポートする装置です。慢性的に脈が遅くなる徐脈の患者さんに対し、主として内科医による埋め込み手術が行われます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」