役に立つオモシロ医学論文

1日20分程度のサイクリングが糖尿病の予防になる

(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病は生活習慣病などといわれるため、「ストレス」「肥満」「運動不足」「暴飲暴食」などがその危険因子だといわれています。糖尿病発症にはさまざまな要因がかかわっており、その原因を特定することは難しいのですが、やはり、規則正しい生活や適度な運動習慣を身に付けることは、その発症を予防するイメージがあります。

 そんな中、「サイクリングと糖尿病発症リスク」の関連を検討した論文が「プロス・ワン」というオープンアクセスの科学誌(2016年7月12日付)に掲載されました。

 この研究は、デンマークに在住の50~65歳で2型糖尿病を発症していない男性2万4623人、および女性2万7890人が対象となりました。

 サイクリング習慣を含む生活様式についてアンケート調査を行い、娯楽や通勤でのサイクリングと糖尿病発症リスクの関連を検討しています。

 なお、結果に影響を与えうる、「年齢」「性別」「飲酒状況」「食事内容」などの因子で調整して解析しています。

 平均で14.2年追跡調査した結果、週のサイクリング時間が0分に比べて、1~60分で13%、61~150分で17%、151~300分で20%、300分超で20%、糖尿病の発症リスクが統計学的にも有意に減少しました。

 サイクリング時間が多いほど、2型糖尿病発症リスクが低い可能性が示されており、おおむね週に150分以上、つまり「1日20分ちょっとのサイクリング習慣は、糖尿病の発症を2割抑える」という結果になっています。

 運動する時間がない方でも通勤に自転車を利用するなど、コストや労力の観点からも比較的容易にできることから、1日20分程度のサイクリングは糖尿病予防にお勧めできるかもしれません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。