Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【九重親方のケース】すい臓がんと糖尿病の見過ごせない関係

九重親方(C)日刊ゲンダイ

 これらのことから分かるのは、糖尿病でない人は将来の糖尿病発症を食い止めるような生活を心掛け、糖尿病の人は病状が悪化しないように治療と生活改善を続ける。それが、がん、ひいてはすい臓がんの予防になるということです。

 どちらも予防する上でコーヒーを飲むといいでしょう。たとえば、男性の場合、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、すい臓がん発症リスクが4割低下。糖尿病の発症リスクも約2割下がります。予防メカニズムはハッキリしませんが、国内外で同様の研究結果が出ていますから、コーヒーの予防効果はほぼ間違いないでしょう。

 ただし、砂糖の取り過ぎは禁物です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。