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【フットケア外来】埼玉県済生会川口総合病院・皮膚科(埼玉県川口市)

埼玉県済生会川口総合病院皮膚科のフットケア外来
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科のフットケア外来(提供写真)

「フットケア外来」といえば、糖尿病の合併症である足の潰瘍や壊疽を中心に診療している施設が多い。

 当科の専門外来の場合は、足のスキントラブル全般を対象にしており、足にできた病気を治す(保険診療)だけでなく、足の皮膚を健康な状態に近づけるケア(自由診療)も並行して行う。同外来を担当する高山かおる主任部長が言う。

「主に対象としているのは、爪の変形、タコ・ウオノメ、糖尿病性足病変、関節リウマチの患者さんの足のトラブルなどです。しかし、これらは病名が付いて治療しても、日常のケアがきちんとされていないと再発してしまいます。その部分をフットケアの専門技術を習得した看護師と連携して補っているのです」

 たとえば、爪の両端が足の皮膚に食い込んで痛い「陥入爪」。炎症や傷があれば医師が治療するが、原因は爪の切り方なので、こじれていなければ看護師のケアと指導で治ることがあるという。

「陥入爪のケアは、爪と食い込んでいる皮膚の間の角質を取り除いて、爪の厚みをグラインダーなどで削って整えます。そして、爪の両端に小さく切った不織布を挟むだけです。治ってくると脱脂綿は自然と取れます」

■靴や歩き方の見直し指導も

 足の皮膚のトラブルを治すトータルフットケアの基本は、「スキンケア(皮膚の保湿や爪の整え方など)」「適切な靴選び」「姿勢・歩き方」の3本柱で、どれが欠けても治らないという。

 タコ・ウオノメの場合には、同外来では厚くなった角質を削るだけでなく、足の変形があれば靴にインソールを入れたり、靴自体のサイズや形の見直しを検討する。

 足の使い方が悪ければストレッチや歩き方、立ち姿勢なども専任看護師が指導している。

「靴は毎日、なにげなく履いていますが、自分の足のサイズをきちんと測ったことのある人は少ないと思います。同じサイズの表記の靴でも、メーカーによって大きさが違います。それに靴幅も足のトラブルには大きく影響します。足の柔軟性が悪い人では、靴の側部が補強されている構造の靴でないと足裏のアーチが保てなくなり、疲れやすくもなります」

 足のトラブルは蓄積性なので、トータルで考えて見直さないと、結果、その負担が他の関節にも波及して、いずれは膝痛や腰痛を引き起こす原因になってしまうという。

 難治性の爪水虫の場合も飲み薬や塗り薬を使う治療だけでなく、厚くなった爪を削るネイルケアを併用すると、薬の効きがよくなり治りも早い。治療期間中は、爪をブラシで洗う自宅でのケアも大切になるという。

■専任看護師の有料フットケアあり

「初診から再診まで3カ月くらい空くので、指導したケアを日常的に続けてもらいます。単に爪の形を整えてもらいたい、外来のケアだけを受けたいというのは対象外。当外来は、本気で足のトラブルを治したい患者さんを対象にしています」

 専任看護師によるフィットケアは1回30分かけて行う。自由診療で費用は3000円(税別)~だ。

データ
 社会福祉法人恩賜財団済生会支部埼玉県済生会が運営。
◆皮膚科スタッフ数=医師2人
◆年間延べ患者数(2015年)=1万6000人(うちフットケア外来患者=300人)
◆同外来診療日=毎週火曜日の午後(予約制)