病院は本日も大騒ぎ

セクハラ横行 「注射が怖いから手を握ってくれ」の下心

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 関東圏の総合病院に勤務する、看護師歴二十数年になるミエコです。

 これまで、どこの病院でも高齢の入院患者が増え、新たな問題が起きていることを話してきました。今回はその続きです。

 セクハラが社会の大きな問題になっています。看護師である私たちも、その被害者になることがしばしばです。中には、巧妙にセクハラしてくるおじいちゃん患者さんがいらっしゃいます。

 たとえば点滴や注射を打つとき、高齢の入院患者さんが、「怖いから、片方の手を握ってくれ」などと言ってきたりします。

 雑談で「若い頃はやんちゃだった」「親父や先輩に殴られて育った」などと自慢する男性です。点滴なんて、そう痛いはずはありません。子供ならわかりますが、人生80年も生きてきた高齢者が注射に恐怖感を抱くこともないでしょう。要するに、なにかと理由をつけて、女性看護師の手を握りたいのです。

 そんな時でも、「いいですよ」とほほ笑んで握らせますけど、こうしたセクハラおじいちゃんは、単に手を握るだけでなく、強弱をつけて握ったり、指を絡ませようとしたり、アピールが凄いのです。中には、青筋の血管を浮き上がらせた手でいつまでも握って離さない人もいます。これがもし若い患者さんだったら、ベッドを蹴飛ばしちゃいますよ(笑い)。

 また、新しい入院患者さんが入室されたときは、担当の看護師が病室を訪ね、「担当する看護師のミエコと申します」と挨拶をします。

 ほとんどの入院患者さんは、「こちらこそ、よろしくお願いします」とおっしゃいますが、孫どころか、ひ孫までいるような世慣れした高齢の患者さんからこう言われました。

「いやあ、あんたで良かった。私は痩せている看護師さんより、太っている看護師さんが好みなんだよ」

 それって私が太っているってこと? これは立派なセクハラですよね。でも、怒るわけにもいきません。はらわたが煮えくりかえっても、やっぱりほほ笑みながら、“どこかで混ぜっ返してやろう”と思いながら部屋を後にするのです。