寝苦しい真夏の夜をスッキリ乗り切る

マイナス要因てんこ盛り 「夜のアイス」が慢性疲労を招く

夜のカラダには「甘い」と「冷たい」はNG
夜のカラダには「甘い」と「冷たい」はNG(C)日刊ゲンダイ

 蒸し暑い夏の夜は、お風呂上がりに冷たいものが欲しくなります。意外にも男性に多いのが、眠る前に冷たいアイスを食べる習慣です。この夜のアイスが、慢性的に疲れている原因かもしれません。「甘い」ことと「冷たい」ことが、夜のアイスのマイナス要因です。

 そもそもなぜ、夜眠る前になると、甘いものを食べたくなるのでしょうか。夜になると、脳は疲労がたまり、働きが鈍くなっていきます。すると、脳は「エネルギー不足だ」と判断して、エネルギー補給をするように体に命じます。「レプチン」という満腹ホルモンを減らし、「グレリン」という食欲刺激ホルモンを増やすのです。

 このホルモンの作用によって、人間は甘いものを欲します。しかし、実はこのとき、内臓の消化活動は終わっているため、実際にはお腹はすいていません。脳が“暴走”しているだけなのです。

 ここで甘いものを食べてしまうと、その糖分は代謝されません。体は、代謝されない糖分が得られると、翌日のエネルギーとして中性脂肪に変換して蓄えます。夜眠る前の「甘いアイス」は、ただ体重を増やしてしまうだけということになります。

 それでも、睡眠中には成長ホルモンが分泌され、余分に摂取された糖分を代謝する働きがあります。ところが、アイスが「冷たい」ことによって、睡眠中の代謝が妨げられてしまいます。

 成長ホルモンの分泌は、睡眠の深さによって決まります。深く眠るには、内臓の温度=深部体温が高い状態から、急激に下がることが必要です。冷たいアイスを食べると、内臓が直接冷やされます。これは生命にとって“危機状態”なので、体は鳥肌を使って熱を閉じ込め、内臓の温度を上昇させようとします。この作用によって深い睡眠が得られなくなり、同時に成長ホルモンの分泌も減ってしまうのです。疲労はとれず、体重だけ増えるという最悪な睡眠といえます。

 夜中に甘いものを食べたくなるのは誰にでも起こる作用ですが、普段からぐっすりと深い眠りがつくられている人は、「食べないでいられる」ことが明らかになっています。アイスを無理にガマンするよりは、根本的な対策として普段の睡眠の質を高め、悪い習慣を断ち切りましょう。