身近な薬の落とし穴

命に関わることも 「解熱鎮痛薬で突然吐血」の危険な兆候

 発熱や痛みはとてもつらい症状です。痛みによって眠れなくなる方もいらっしゃいます。

 急な発熱、頭痛や歯の痛みには「解熱鎮痛薬」がよく効きます。市販薬では「ロキソニンS」(ロキソプロフェンナトリウム)が多用されています。しかし、痛いからといって一度に何錠も飲むなど、不適切に使用すると危険な副作用が起こることがあるので注意してください。

 解熱鎮痛薬は、痛みに関係する酵素「シクロオキシゲナーゼ」の働きを妨げ、解熱や鎮痛作用を発揮します。シクロオキシゲナーゼは、胃粘膜の血流を維持したり、粘液を産生させる働きも持っています。つまり、シクロオキシゲナーゼの働きを妨げると、痛みや発熱は抑えられますが、同時に胃粘膜の血流量が低下したり、粘液が減少する副作用があるのです。

 そして、この副作用によって胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こすことがあります。以前、胃潰瘍になって、鎮痛剤の服用をやめるように医師から指示された患者さんがいらっしゃいました。詳しく話を聞いてみると、急に吐血をして慌てて病院に駆け込んだそうです。患者さんは笑いながら話されていましたが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は重症化すれば命に関わる危険な病気です。

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中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。