これで痛みを取り除く

【胆石発作】対処療法は鎮痛薬や鎮痙薬で根治は手術

 脂っぽいものを食べると、胃けいれんを起こす。そう思っていると「胆石症」の発見を見逃すので要注意だ。

「食後、決まって2時間くらいの間に、みぞおちから右脇腹にかけて激しい痛みが表れる。そして、数時間内に痛みが治まる」というのは、胆石症発作の典型的な症状。「虎の門病院」消化器内科(肝・胆・膵)の今村綱男部長が言う。

「胆石発作は、脂肪分の消化吸収を助ける胆汁を一時的に貯蔵・濃縮しておく胆のうの中に結石(胆石)ができることで起こります。食べ物が十二指腸に送られてくると、胆のうは収縮して胆汁を出します。そのとき、胆のうの出口に結石が詰まることで激しい腹痛が起こるのです」

 しばらくして、胆のうの収縮がゆるむと、詰まった石が外れて発作の痛みも自然と治まるという。ちなみに胆石の主成分は、胆汁の中に含まれるコレステロールなどが結晶化したものだ。

 胆のうに石があるかどうかは、超音波(エコー)検査をすればすぐに鑑別できる。しかし、胆のうに石がある限り、発作は繰り返し起こる。根治するには、胆のうごと石を摘出する手術(最近は腹腔鏡下手術が中心)が必要だ。

「胆石発作を起こした患者さんには、再発作が起きたときに飲む痛み止めとして、ロキソプロフェンなどの鎮痛薬やフロプロピオンなどの鎮痙(ちんけい)薬を処方します。そして、時機をみて手術を受けることを勧めます」

 ただし、胆石発作が治まるうちはいいが、詰まった石が外れなくなる場合も。そうなると激しい腹痛は持続したままで、放置すると「胆のう炎」になる可能性が高くなる。その場合は入院が原則で、絶食・点滴で胆のうの安静をはかり、痛み止めは通常の鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)を使う。

「すでに胆のう炎を起こしている場合は、72時間以内なら緊急手術の対象です。それ以上経過すると、炎症が周囲に及ぶので手術自体が難しくなるため、ドレナージをします。ドレナージをすれば、速やかに痛みが取れるケースがほとんどです」

 ドレナージとは、皮膚から直接胆のうにチューブを挿入(刺)したり、内視鏡を使って口から十二指腸を経由して胆のうへチューブを入れ、胆汁を排出させて減圧させる処置。ドレナージ後はだいたい1~2週間で胆のうを摘出する手術が可能になるという。