医者も知らない医学の新常識

暗い中での操作が原因…スマホで目が急に見えなくなる?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 スマートフォンは、それなしでの生活は考えられないほど普及しています。

「あまりに長くスマートフォンの画面を見ていると、目が悪くなるのではないか」というのは、誰でも何となく感じるところです。実際、「短期間スマートフォンの画面を見ただけで、目が一時的に見えなくなる」という症状が最近報告されています。これは「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という有名な医学誌に載った報告です。

 40歳の女性が朝早く起きて散歩に出かけたところ、その時に限って毎回右目が15分くらい見えなくなりました。救急病院を受診し、一過性の脳梗塞が疑われて治療を受けました。しかし、詳細に病歴を聞き取りしたところ、夜明け前にベッドの中で左側を下にして寝ている状態のまま、右目だけでスマートフォンの画面を見て天気や時間を確認していたことが分かりました。

 このように、暗い中で一方の目だけでスマートフォンの画面を見ると、スマートフォンを消した後で「見ていた方の目が一時的に見えなくなる」という現象が起こるのです。これは、一方の目だけに強い光刺激が加わり、それがなくなった時に、目が暗い環境に順応するのが遅れることが原因だと考えられています。スマートフォンを暗い中で見るのは、注意が必要なようですね。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。