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【スポーツ外来】外傷から歯を守るマウスガードを製作

松本勝准教授(C)日刊ゲンダイ

「研究分析によれば、MG装着者と比べて、MGを着けていない人のスポーツ・運動中の外傷発生リスクは、全体として1.6~1.9倍高いことが分かっています。ですから、装着が義務化されていない競技でも、野球でボールが当たったり、モトクロスやスキーなどで転倒して、一度ケガを経験したので欲しいという人もいます」

 また、顎の嚢胞の治療で骨を削ったため骨が薄くなってしまい、念のために防具としてMGを使いたいというスポーツ選手もいるという。

 歯や口の中の外傷だけでなく、顎から伝わる脳への衝撃のダメージを減らしたり、競技中に歯を強く噛みしめることによる顎関節の障害の予防にもなる。また、顎の位置が安定するので、頭や首、腰の位置が適正に保たれ、体のバランスが良くなるメリットもあるという。

「ただし、MGには市販製品もあり、適合性や維持力、装着感に問題があるものは逆効果になりかねません。すべての歯科施設がMGを製作できるわけではないので、当大学は埼玉県歯科医師会と協力して、MGを扱える歯科医師、歯科技工士を増やそうと講座などを開いています」

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