気象予報士の医師が教える“病気予報”

夏に血圧が上がりやすいのは低温で天気が下り坂の場合

 夏の太平洋高気圧は、比較的暖かい空気の層が上空高くまで積み上がった“背の高い”安定した高気圧です。体が高気圧に押されると、血圧も上昇して高血圧になってしまうような気がしますが、実際はどうでしょうか。

 たしかに、「高気圧酸素療法」という2気圧以上に加圧した状態で酸素を吸入する治療法を行うと、とくに脳卒中患者さんで血圧が上昇することがあるようです。原因はよく分かっていません。ただ、自然界では2気圧以上の高気圧にさらされることはまずありませんので、高気圧だからといって高血圧になるとは心配しなくてもよいと思います。

 むしろ、血圧が上がりやすいのは、低温で天気が下り坂の場合です。低温だと末梢血管が収縮し血管抵抗が増加するので、心収縮力も増し血圧が上がります。天気が下り坂の場合には、気圧の変化を耳の奥のセンサーで感知し、自律神経が働き、血圧が上昇するのではないかと考えられています。

 暑い日が続いた後に天気が崩れて気温が下がるような日には、血圧に気をつけましょう。