天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心房細動からくる脳梗塞も…心臓は“脱水”にめっぽう弱い

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 また、アルコールも控えめにしてください。夏場はビールがおいしい季節ですが、アルコールは利尿作用があり、脱水を促します。飲み過ぎてそのまま寝てしまい、夜間に脱水状態に見舞われるケースは少なくありません。宴席でもビールは最初の1杯くらいにしておいて、あとはお茶とお酒を交互に飲むようにするなど、しっかり対策しましょう。

 日焼けもなるべく避けた方がいいといえます。炎天下で活動して日焼けしたあと、「どうも疲れやすいな」と感じたら、日焼けが治まって安定するまでの3~4日間は、無理をするのは禁物です。日焼けはいわばやけどですから、日焼けした部分の水分調節ができなくなってしまって、脱水を促します。日焼けしたあと、「どうも動悸がするな」とか「疲れやすいな」などと感じたら、心房細動が発症している状態かもしれません。医療機関で検査してみたら、心臓のトラブルが発覚する可能性もあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。