だからといって肺がんを恐れることはありません。ステージ1で見つかれば、治癒率は肺がん全体で8割、肺腺がんだと9割近いのです。ステージ2で5割を下回りますから、早期発見の大切さが分かるでしょう。
早期発見できれば、手術も放射線も治療成績はほぼ同じ。手術なら、胸腔鏡という内視鏡で胸を開くことなく治療できる可能性が高い。最近は定位放射線といって、呼吸に伴う微妙な動きも追尾してがんにピンポイント照射する方法が普及していて、外来で4日通院するだけで済みます。胸腔鏡手術より一層体への負担が軽い。
注意したいのは、早期の肺がんだと、咳や息苦しさなどの症状がないこと。症状を頼りにすることができないので、早期発見するには検診が不可欠です。
肺がん検診はX線検査と喀痰細胞診が基本。喀痰細胞診は痰のがん細胞の有無を調べる検査で、喫煙指数(1日の平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上、6カ月以内に血痰があった人など、高リスクの人が対象。しかし、大企業が加入する健保組合でも、喀痰細胞診を行うのは2割ほど。ヘビースモーカーは早期発見のためCT検査を受けるのもよいでしょう。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁