Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【武邦彦さんのケース】たばことは関係のない肺がんか

武邦彦さん(C)日刊ゲンダイ

 だからといって肺がんを恐れることはありません。ステージ1で見つかれば、治癒率は肺がん全体で8割、肺腺がんだと9割近いのです。ステージ2で5割を下回りますから、早期発見の大切さが分かるでしょう。

 早期発見できれば、手術も放射線も治療成績はほぼ同じ。手術なら、胸腔鏡という内視鏡で胸を開くことなく治療できる可能性が高い。最近は定位放射線といって、呼吸に伴う微妙な動きも追尾してがんにピンポイント照射する方法が普及していて、外来で4日通院するだけで済みます。胸腔鏡手術より一層体への負担が軽い。

 注意したいのは、早期の肺がんだと、咳や息苦しさなどの症状がないこと。症状を頼りにすることができないので、早期発見するには検診が不可欠です。

 肺がん検診はX線検査と喀痰細胞診が基本。喀痰細胞診は痰のがん細胞の有無を調べる検査で、喫煙指数(1日の平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上、6カ月以内に血痰があった人など、高リスクの人が対象。しかし、大企業が加入する健保組合でも、喀痰細胞診を行うのは2割ほど。ヘビースモーカーは早期発見のためCT検査を受けるのもよいでしょう。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。