看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

リンパ浮腫とどう付き合うか

「私は子宮頚がんなのに、どうして歩けなくなるの? 私の足と吉田さんの足、交換してよ」

 患者さんから泣きながら訴えられたことがあります。

 その患者さんは子宮頚がんの手術後、抗がん剤治療を受けられていましたが、両足にリンパ浮腫を発症。体力の低下も伴って、少しずつ自力歩行が難しくなってきていました。

 リンパ浮腫には、原因がはっきりしない「原発性」と、外科手術後に発症する「続発性」があります。続発性は、がんの手術でリンパ節郭清をしたり、抗がん剤や放射線治療でリンパ管に閉塞や障害が生じた場合に起こる可能性があります。

 リンパ浮腫は、残念ながら治療は困難とされています。しかし、悪化しないようにはできます。

「適切な対処法を知れば、上手に付き合っていけます。早期発見・早めの対処が、笑顔で療養を続けるカギになります」と、患者さんにはお話ししています。

 早期の症状でよく見られるのは、「片側だけ服の袖がきつくなる」「靴下のあとが強く残ったり、ピリピリとつっぱる感じがする」など。着替えや入浴、全身のスキンケアの時にセルフチェックをしてください。

 ただし、こうした症状は疲労や血行不良、低栄養などでも起こるので、症状があっても必ずしもリンパ浮腫とは限りません。複数の原因が絡み合っている場合もあります。

 一晩眠って改善する程度であれば様子を見る。もし、安静にしていても改善せず、左右差があるなら受診する。受診する時は、最初は手術をした病院の診療科へ行ってください。リンパ浮腫を専門に診療する外来を持つ病院も増えてきましたので、専門的なケアが必要な場合には、そのような病院を紹介されることもあるかもしれません。