天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

尿酸値は心血管疾患の発症にも関わる

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 夏は「尿酸値」が上がりやすい季節です。発汗などによって体内が脱水気味になり、血中濃度が上がるためです。冷えたビールがおいしいこともあって、尿酸値を気にされている方も多いのではないでしょうか。

 尿酸というのは体内でプリン体が分解されてできた老廃物で、ビタミンCを上回る強い抗酸化作用があり、酸化ストレスから組織を守る有益な作用を持つといわれています。しかし、血中濃度が「7㎎/dl」を超えると結晶になり、その結晶が関節などにたまって激痛を引き起こします。これが「痛風」です。

 日本痛風・核酸代謝学会では、尿酸値が「7」を超えている場合は「高尿酸血症」としています。しかし、そのすべてが痛風発作を起こすわけではありません。発作は起こっていないものの、尿酸値が高い人もたくさんいます。日本では、痛風患者が約100万人、無症候性高尿酸血症は500万人いると推計されています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。