天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

尿酸値は心血管疾患の発症にも関わる

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 私も18年前、初めて高い尿酸値が原因の尿管結石で激痛発作を経験し、ずっと尿酸値を下げる薬を飲んでいます。血液検査で尿酸値が高いことは分かっていたのですが、放置していたツケがきて、体外衝撃波による入院治療が必要でした。それ以来、日頃から尿酸値の定期検査を受けています。

■高血圧や高脂血症を合併しているケースが多い

 また、高い尿酸値は結石形成だけでなく、動脈の石灰化にも関係していることが明らかになっているため、2年前からは尿酸値をきちんとコントロールするためにお酒もやめました。そのおかげもあり、体調は良好です。

 つまり、中高年の高尿酸血症で注意しなければならないのは、痛風や結石だけではないのです。心血管疾患の発症と大きく関係しているという報告が欧米に数多くあるうえ、高尿酸血症の人の死亡原因の第1位は、心筋梗塞などの心血管疾患というデータもあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。