天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

尿酸値は心血管疾患の発症にも関わる

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 もともと尿酸値が高い人は、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などを合併しているケースが多く、それが心血管疾患が増える大きな要因だと考えられています。いずれも、動脈硬化を促進させる大きなリスク因子で、動脈硬化は心筋梗塞、狭心症、弁膜症、大動脈瘤などの心臓病を引き起こす要因になります。

 高血圧学会では、「日本人は尿酸値が『1』上昇するごとに、男性で18%、女性で25%が高血圧を合併しやすい」という発表もあり、男性は「7.5以上」、女性では「6.3以上」の場合、高血圧を合併する患者の心血管疾患の発症が増えるという報告もあります。やはり、尿酸値が高いまま放置しておくのはリスクも高いと考えていいでしょう。

 また、合併だけでなく、高尿酸血症は心血管疾患の独立した危険因子であるという報告もあります。はっきりしたメカニズムはまだ解明されていませんが、尿酸が基準値を超える状態が続くと、血管の細胞が尿酸を取り込んで血管の壁が厚くなり、血液の通り道が塞がれて心筋梗塞や狭心症のリスクが高まるのではと考えられているのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。