Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【林家木久扇さんのケース】咽頭がん2大リスクはたばこと酒

林家木久翁さん(C)日刊ゲンダイ

 お元気そうで何よりです。落語家の林家木久扇さん(78)は、2年前に発見された喉頭がんの経過が順調のようで、人気番組「笑点」で次のように話していました。

「担当の先生が『もう毎月検診に来なくていい。3カ月にいっぺんでいいよ』と言ってくれました」と語り、「がんサバイバーの木久扇です」と両手を広げてガッツポーズしながら挨拶したのです。

 喉頭はいわゆるのどぼとけで、その中にあるのが声帯。そこにがんができて、摘出手術を受けると、声を失う恐れもゼロではありません。落語家にとって、声は命の次に大切なもの。それを失いそうな崖っぷちから生還したのですから、喜ぶのも当然でしょう。

■男性は女性の10倍

 昨年、喉頭がんにかかった人は推計4700人で、13万人を超える大腸や肺、胃の3大がんと比べて少ない。がんの中では珍しいがんではあるものの、その病気による社会的な影響が無視できないため、注意が必要なのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。