看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

「オンコロジックエマージェンシー」を知っていますか?

「オンコロジックエマージェンシー」という言葉を、医療関係者以外でご存じの方は少ないのではないでしょうか?

 がんに関連した原因で、救急対応を必要とされる致命的な状態に陥ることです。がんにはさまざまな病気の進行の段階や治療がありますが、いずれの時期にもリスクがあり、早期の適切な救急対応が予後や生活の質に大きくかかわります。

 オンコロジックエマージェンシーは、原因が複雑に絡み合って起こります。がんの浸潤や転移など、がんの病態そのものに起因する場合。また、手術、化学療法、放射線療法などに伴い発生する場合。さらには、もともとの既往症(心臓疾患や肺疾患、腎不全など)に関係する場合です。

 たとえば、がんでよく見られる吐き気は、呼吸困難や意識障害など、生命にかかわるものもあります。吐き気がなぜ起こっているのか? がんの増大で消化管が圧迫されているのか、がん治療で用いる抗がん剤や鎮痛薬の副作用なのか、便秘や逆流性症候群といった既往症によるものか。原因がある程度特定できれば、速やかに対策を講じられます。

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