死を招く病気は秋に発症する

HbA1cが下がる秋は「1型」糖尿病の発症が増え始める

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病が気になる人にとって、いいシーズンの始まりです。というのも、秋に入ると「HbA1c」の数値が低くなるからです。とりわけ9月から10月が、一年を通してもっとも低い値になることが多くの研究から分かっています。

 数値は「糖化ヘモグロビン」と呼ばれる物質の量を測定します。赤血球中のヘモグロビン分子が血液中のブドウ糖(血糖)と結合してできたものが、糖化ヘモグロビンです。血糖値が高い人ほどより多くできることが分かっています。

 HbA1cは、全ヘモグロビン分子の中で、糖化ヘモグロビンに変化したものの割合を示した値です。

 たとえば、HbA1c値が6.0なら、全ヘモグロビンのうち6%が糖化ヘモグロビンに変化しているという意味です。糖化ヘモグロビンは1~2カ月で半分以上が分解されて入れ替わっていくため、HbA1c値は直近1~2カ月間の平均血糖値を反映しているというわけです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。