医者も知らない医学の新常識

ピリン系でアレルギーは本当ですか?

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 薬で具合が悪くなったことはありますか? クリニックの外来で患者さんにお聞きすると、多く返ってくる答えの一つが「ピリン系のアレルギー」です。高齢者である場合には、その通りピリン系の薬に対するアレルギーの可能性が高いのですが、若い方では、それとは違う薬の可能性があります。

 ピリン系の薬というのは、ピラゾロン基本骨格という構造を持つ薬のことですが、最近ではほとんど使われていません。

「SG配合顆粒」や注射薬の「メチロン」という解熱鎮痛薬はピリン系の薬の代表で、私が臨床を始めた25年くらい前には、「熱が出たらメチロンの注射、頭痛がしたらピリン系の配合剤」というのが一般的な処方でした。しかし、その後、もっと安全性の高い薬が登場したことで、次第に使われなくなったのです。

 それでは、若い人のピリン系のアレルギーというのは何なのでしょうか? 昔は風邪薬の配合剤にピリン系の薬が含まれていたので、「風邪薬はピリン系」と誤解をしているケースや「アスピリンをピリン系と誤解した」というケースが多いようです。

 薬でアレルギー症状が出たような場合には、必ずその薬の具体的な名前を記録しておいて、医者やかかりつけの薬局に伝えておくことが必要です。「ピリン系」というような、漠然とした覚え方はしない方が安全なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。