薬で具合が悪くなったことはありますか? クリニックの外来で患者さんにお聞きすると、多く返ってくる答えの一つが「ピリン系のアレルギー」です。高齢者である場合には、その通りピリン系の薬に対するアレルギーの可能性が高いのですが、若い方では、それとは違う薬の可能性があります。
ピリン系の薬というのは、ピラゾロン基本骨格という構造を持つ薬のことですが、最近ではほとんど使われていません。
「SG配合顆粒」や注射薬の「メチロン」という解熱鎮痛薬はピリン系の薬の代表で、私が臨床を始めた25年くらい前には、「熱が出たらメチロンの注射、頭痛がしたらピリン系の配合剤」というのが一般的な処方でした。しかし、その後、もっと安全性の高い薬が登場したことで、次第に使われなくなったのです。
それでは、若い人のピリン系のアレルギーというのは何なのでしょうか? 昔は風邪薬の配合剤にピリン系の薬が含まれていたので、「風邪薬はピリン系」と誤解をしているケースや「アスピリンをピリン系と誤解した」というケースが多いようです。
薬でアレルギー症状が出たような場合には、必ずその薬の具体的な名前を記録しておいて、医者やかかりつけの薬局に伝えておくことが必要です。「ピリン系」というような、漠然とした覚え方はしない方が安全なのです。
医者も知らない医学の新常識