独白 愉快な“病人”たち

松枝茂房さん 週1回の加圧トレーニングで叶えたプロ復帰

プロボウラーの松枝茂房さん(C)日刊ゲンダイ

■手術でなく加圧トレーニングでの治療を決意

 そこからが“奇跡”の始まりです。大腿骨頭陥没骨折から1年が経ち、リハビリで日常生活は送れていたものの、まだボウリングをするまでには程遠い頃、たまたま見ていたケーブルテレビで、加圧トレーニングが紹介されていたんです。今でこそ、加圧トレーニングを取り入れているスポーツジムはあちこちにありますが、当時はまったく未知のトレーニング方法です。でも、短時間で効率よく筋肉が付けられるということに引かれたことと、その加圧トレーニングの発明者の指導が直接受けられる本部が、家から自転車で通える場所だったことで、“行くしかない”と即決しました。

 加圧トレーニングは、腕や脚の付け根を加圧ベルト(正式には筋力アップクン)で締めて、血流を制限した状態で運動をする筋力トレーニング法です。軽い負荷で通常のトレーニングよりも効果的に筋肉を増やせる一方で、個々の筋肉量や血圧などに合わせた加圧でないと、血管に重大なダメージを与えてしまう可能性もある。そのため、指導者なしでは決して行ってはいけないギリギリのトレーニングなのです。

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