当事者たちが明かす「医療のウラ側」

手術や生検で採取された「骨・皮膚・内臓」の処分の方法

都内の30代勤務医

 先日、同期で病理医として大学病院に勤務している友人に、こんなことを聞きました。以前、患者さんから聞かれて答えに窮したからです。

 必要に応じて病理検査に回され、病理標本をつくり病理医が診断。残りの臓器は1年程度ホルマリン漬けにして保存した後に処分する。病理組織標本は半永久的に保存するが、いつかは処分することになるそうです。

 ただし、処分するといっても手術や生検で採取された臓器は感染性廃棄物であり、廃棄物処理法の対象です。家庭用生ゴミと同じように廃棄するわけにはいきません。

 臓器を取ってから数週間で亡くなった患者さんの場合は、ご遺族の意向でご遺体と一緒に火葬することもあるそうですが、それはごくまれなケース。

 そうした特殊例以外は、専用の箱に詰めて病院で設置している焼却炉で焼却するか、都道府県の認可を得た業者が収集して、その後、焼却処分することになります。

 それでは忍びないということで遺体焼却場で荼毘に付している病院もあるそうですが、そこで問題になるのが「焼骨」の処理。

 ある病院では、「焼骨」の処理をしてくれないのなら、「焼かない」と言われて大騒ぎになったことがあるそうです。

 結局、この病院ではあるお寺と契約を結んで、「焼骨」を無縁仏として納骨することで解決したそうです。

 ちなみに、糖尿病などの治療のため手足を切断した場合、「あの世では元の健康な体に戻りたいので手足の骨を火葬して残しておき、死んだ後に遺骨に混ぜてほしい」という人も少なくないそうです。

 その場合は、病院で切断四肢の「完全焼却」に同意するのではなく、「四肢火葬」を希望するといいそうです。実際、対応してくれる火葬場もあり、本人や家族が医師の依頼書などの所定の書類を持っていくと、火葬してくれるところもあるそうです。

 病院は何かにつけて患者からお金を巻き上げるといわれますが、一般の方が思ってもみない出費があることも分かってほしいと思います。