数字が語る医療の真実

緩和ケアにおける「ステロイド」の効果と副作用

 緩和ケアにおいて、「モルヒネ」と並んでしばしば使用する薬に「副腎皮質ホルモン」(ステロイド)があります。今回はその効果と副作用について、米国での研究を取り上げましょう。

 この研究は、疲労感を訴える進行がんの患者132人を対象に、ステロイドのひとつである「デキサメタゾン」(一般名)を飲むグループと、プラセボ(偽薬)を飲むグループに分けて、疲労感に関連する症状のスコアをランダム化比較試験で比較しています。

 2週間の投与の後、15日目に疲労感を0~4点の5段階で評価した13項目のスコアの合計の変化を評価しています。デキサメタゾン群で平均9.0の改善、プラセボのグループでは3・1の改善で、デキサメタゾンで改善度が6点程度、統計学的にも高いという結果でした。

 しかし、この研究結果にはいくつか問題があります。ひとつは当初132人を対象にして始められましたが、最終的に分析に組み入れられたのは84人に過ぎません。デキサメタゾン群では5人が治療継続を途中で拒否、16人が治療を中止、副作用や入院で8人が脱落するなど、多くが分析から除かれています。つまり、この結果は「2週間の治療を継続できた60%程度の患者でどのような効果があったか」を調べたということに過ぎません。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。