今年の「ソラックス(Thorax)」という医学誌に、興味深い論文が掲載されていました。「バグパイプ」を趣味で毎日吹いていた男性が、原因不明の咳や痰、呼吸困難に苦しみ、悪化して亡くなってしまったのです。
男性は英国在住でしたが、一時オーストラリアに住んでいて、その頃はバグパイプを演奏しなかったところ、その時期だけは症状が出ませんでした。そして、バグパイプの内部から数種類のカビが検出されました。どうやらこのカビが、男性の呼吸困難の原因だったようなのです。
しかし、これは「カビによる肺炎を起こした」ということではありません。カビの成分のタンパク質に、一種のアレルギー反応を体が起こしてアレルギー性の肺炎になったのです。一度、そうした反応が成立してしまうと、少量のカビを吸い込むだけで、再び重い症状が出現します。これを「過敏性肺炎」と呼んでいます。
医者も知らない医学の新常識