病院は本日も大騒ぎ

貧困から逃れるために入院する人々

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この患者さんは、まさに「入院勧告」で入ってきたケースでした。入院当初、私たち看護師には「私は独身。以前、結婚していたが離婚した」と言っていましたが、中年の女性がお見舞いにきて、かいがいしく世話をしていました。

 最初は「新しい彼女なのね」と思っていましたが、病室での2人の会話を聞くと、どうみても夫婦。

 どうやら、離婚は「偽装」だったようなのです。

 その後、なんとはなしにわかってきたのは、偽装離婚は生活保護費と子どもの扶養手当をもらうのが目的だったということです。

 しかし、これらはキチンとした手続きを経て支給されているものですから、私たち看護師がとやかく言うことではありません。役所に通報することもありません。

 ただ、離婚を「偽装」までしなければ生活できない人たちがいる現実と、税金の無駄遣いの横行を目の当たりにすると、やるせなくなってしまいます。

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