独白 愉快な“病人”たち

医師・僧侶の田中雅博さんは娘が強制した検査ですい臓発覚

田中雅博さん(C)日刊ゲンダイ

■その時が来るまで「いのちのケア」を伝えていきたい

 とはいえ、「ステージⅣbで2年経っている」私が今も講演に行けるのは、抗がん剤のおかげです。

 よく、がんになると民間療法に頼る方がいますが、倫理審査も論文審査も受けていないから「民間」なのであり、それに頼るのは危険です。

 がんは私にとって「機」でもあります。がんになったおかげで、この2年で4冊の本を出版し、ずっと提唱してきた「いのちのケア」を行う専門家の必要性について耳を傾けてもらえるようになりました。死に直面している人の“言葉”を「臨床宗教師」という専門家が傾聴することで、患者本人が人生の物語を完成し、価値を見いだす。その専門家養成講座の創設にも関わり、形になりつつあります。

 抗がん剤の副作用で足先のしびれと感覚の麻痺がありますが、今日も栃木の益子から宇都宮まで自分でクルマを1時間運転し、新幹線を乗り継ぎ、東京で講演と取材の予定です。

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