夏バテ胃腸は秋口に立て直せ

過敏性腸症候群には注目の「低FODMAP食」が効果的

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 過敏性腸症候群を改善するには、食事を見直すのが効果的です。最近は「低FODMAP食」と呼ばれる新しい食事療法が注目されています。豪州のモナッシュ大学で開発されたもので、FODMAPというある種の糖質を避ける食事法です。

 FODMAPとは、「発酵性」の「オリゴ糖類」「二糖類」「単糖類」「ポリオール類」のアルファベット表記の頭文字に「AND」を加えて並べたもの。これらの糖質は小腸での吸収が悪いため、摂取すると小腸の中で濃度が高まります。すると、小腸の中で浸透圧が高まり、大量の水分が小腸内に引き込まれて小腸が水浸しになってしまいます。そのため、小腸の運動が高まりすぎてゴロゴロしたり、下痢の引き金になるのです。

 また、FODMAPは小腸での吸収が悪いため大腸まで到達し、大腸内の腸内細菌と反応して異常発酵を起こし、水素ガスがたくさん生産されます。過剰な水分とガスによって、腹痛、下痢、お腹の張りなどが生じるのです。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。