気象予報士の医師が教える“病気予報”

高気圧(晴天)と虫垂炎 消化の良い温かい食べ物が予防策

 急性虫垂炎(いわゆる「盲腸」)は、右下腹部の激痛を主症状とし、若年者に多い疾患です。虫垂は、消化管のひとつではありますが、盲端(行き止まり)の臓器なので、消化機能はほとんどないといわれています。

 冷たい物を食べすぎたり、粗悪な素材の食べ物を食べたりなどした場合に虫垂炎を起こしやすいと考えられますが、発症原因はよく分かっていません。

 実は、以前から気象と虫垂炎の発症との関わりが議論されてきました。「梅雨の間の晴れ間に多い」などといわれることもあり、梅雨の間の晴天時に交感神経系が優位となって、リンパ球の減少を招き、虫垂炎にかかりやすくなるのではないかと考察されています。もっとも、これには猜疑的な意見もあり、詳細は不明です。ただ、論文や学会報告を見ると、虫垂炎は夏に多く冬に少ない傾向があるようなので、気象変化と何らかの関わりはあると考えられます。

 虫垂炎の対策は難しいのですが、冷たい物や粗悪な食べ物を避け、消化の良い温かい食べ物を食べるようにすれば、予防効果に期待できるのではないでしょうか。