Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

小林麻央さんのブログにも? 乳がん検診「最大の問題点」

小林麻央さんはブログを再開(C)日刊ゲンダイ

 困ったことに、日本人女性は7割が高濃度乳腺といわれています。年代別では、40代の89%、50代の57%が「不均一高濃度乳腺」「高濃度乳腺」とする報告もあり、若い人ほど高濃度の割合が高い傾向もうかがえるのです。

 麻央さんが高濃度乳腺で、乳がんと診断される過程でマンモを受けたとすれば……。不利益を被った可能性は少なくないでしょう。

 では、マンモで「異常なし」とされた人は、どうすればいいか。受診した医療機関に高濃度乳腺かどうか問い合わせてみる。もし高濃度なら要注意なので、改めて超音波検査を加えて調べてみるのもよいでしょう。このダブルチェックで、マンモ単独の場合より1・5倍、早期乳がんを見つけやすくなるのです。

 米国では、マンモ検診の危うさが社会問題になり、受診者が高濃度乳腺の場合、告知することを義務化する州が増えつつあります。麻央さんのブログは、日本でも米国のようなうねりを起こすかもしれません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。