数字が語る医療の真実

終末期の点滴は有害無益か

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 末期のがん患者は徐々に食事がとれなくなっていきます。そんなとき「点滴」は真っ先に考える治療法でしょう。

 実際の末期がん患者に対する診療の現場でも、患者さんの家族が「点滴をしてもらえませんか」と言うのは、最もよくある提案の一つです。「モルヒネやステロイドを使ってください」と患者側から要求されることが少ないのとは反対です。一般的にはいちばん頼りになる治療と思われているのかもしれません。

 この末期がん患者への点滴の効果について、余命3カ月以内と予想されるがん患者226人を対象に、ランダム化比較試験で検討した研究があります。

 毎日4時間かけて1リットルの点滴をするグループと、100㏄の点滴をするグループで、「口の渇きなどの脱水症状」「むくみ」「腹水」などの差を比べています。「脱水症状」については、40点満点の指標で、1リットル点滴群で平均3.3点の減少、100㏄の群では2.8点の減少と、どちらのグループも徐々に悪化して改善は見られませんでした。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。