数字が語る医療の真実

終末期の点滴は有害無益か

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「むくみ」や「腹水」に関しては1リットル点滴群ではむしろ悪化しており、全体的には点滴群のほうが悪いという結果です。この研究では生存期間についても比較していますが、どちらのグループも平均17日で亡くなっていました。

「食事がとれなくなったら点滴くらいは」と皆さんも思われるかもしれません。しかし、どうやら点滴は症状の改善をしないばかりか、むくみや腹水を増やすだけかもしれないのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。