看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

ありふれた症状が重篤な疾患の兆候に

 また、緩和ケアの患者さんでは、高アンモニア血症の発見につながる採血の回数や機会が減ります。「だから、見過ごされている患者さんも多いのではないか」と、以前一緒に働いていた医師が研究に取り組んでいました。

 終末期のがん患者さんに関する高アンモニア血症の実態や原因についてはまだ報告が少なく、どの段階まで治療をするのかというガイドラインはないのが現状です。

 しかし、意識障害まで進行すれば、残された生活の質にも影響が及ぶことは間違いありません。

 緩和ケアというと、「もう何もすることがない」イメージがまだ根強いですが、そうではありません。苦痛を和らげ、軽くし、なくすための手段を考え講じることが緩和ケアです。少しでも苦痛が和らぐ手段を探すための方法としては、必要最小限の採血がいちばん身近なものといえるかもしれません。

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